“土から始まり土へと還る”コンセプトが生まれた瞬間

今回は自身の主軸 コンセプトである

“土から始まり土へと還る循環型の物づくり”

はどのようにして生まれたのかを書いていきます

以前にも書かせて頂きましたが
ぼくは見習い当初から身銭を切り
自宅の風呂場に藍を仕込み学んできた

それは、工房内では
まだ触らせてもらえなかったため
学ぶ時間を効率化するために
工房内で学べない事は
自分で学ぼうと始めた事だ

2年ほどが経ち、引っ越しと共に
次は、ベランダで藍をやることにした
ただ、隣人と排水管が同じなので
大量の水を流すと
隣人のベランダの方まで流れてしまう
それを防ぐために
自身が染めて使い続けていた
ボロボロの手ぬぐいで
水の流れ道を塞ぎ
隣人の方へは流れ込まずに
そのまま排水管を流れるようにした

自分のブランドを立ち上げる事は
見習い当初から常に考えていたが
コンセプトが見つからない

なぜ、植物染めなのか
なぜ、この仕事をしているのか
自分はなにがしたいのか
なにを伝えたいのか
なぜなぜなぜ

いくら考えて書き出してみても
今現在掲げている
コンセプトへは辿り着かなかった

それでも、動き出さないと行けないので
コンセプトを掲げずに自身の活動をしていた

去年の5月頃コロナ禍で外出自粛
GWは自宅で
藍だけができる事がプラスになった
連休は他の予定がひとつも入らず
藍染をやりまくれる

日中は藍染にのめり込み
夜はNetflixにある
アワープラネット
という番組をたまたま観た

温暖化で今、地球に起こっていることや

その事が原因で絶滅しかけている動物たち

海のマイクロプラスチック問題など

自分の気にした事もない
現実を目の当たりにした

それまでのぼくは
もし地球に住めなくなっても
富裕層や一部の人間は地球を捨て
違う星へ行きまた新たな文明を築くんだろうな〜
程度な考えしかなかった

でも、アワープラネットを観てから
それまで人類のことしか考えてなかった事が
この地球には沢山の動植物が居て
人間だけが生きている
場所ではない事を改めて思い知らされた

地球に住むすべての生き物が
共生している事を本質的に理解させられた

そして
自分もその地球サイクルの一部だと理解した

次の日も変わらず
藍染もしようとベランダを出たら
排水路の流れ道に
詰め伏せていた手ぬぐいに目がついた

その手ぬぐいから
一本の小さい雑草が芽を出していた

あまり気にはしていなかったけど
どうやって生え出したんや
と軽く思っていた

それからいつも通り
藍染をして片付けているとき
排水路の手ぬぐいも
新しいタオルか何かに替えようと思った

手ぬぐいを掴もうとすると、
繊維がボロボロになり崩れ落ちた

見た目はクシャクシャにした手ぬぐいでも
触れば崩れ手ぬぐいとは
呼べないものになっていた

その瞬間
自分の作る物作りは
このようにして土に還るのか
という考えが頭の中に出てきた

今までしてきた事が
すべて繋がり線となり
自分の仕事(植物染)の
本来の在り方が突然わかった 
衝撃が走りまくった

これや と思った

繊維も天然繊維、色も自然植物

今まで表面上で自然が一番良いやろ〜
という根拠のない考えしかなかったけど

自分のしている事は紛れもなく
地球の循環サイクルに沿って
動いていることに気が付いた

その時の衝撃は今でも忘れない
欠けていた最後のピースが
バチっとはまった気がした

雷のように完全に頭の中でハマって
衝撃が頭の中に流れた

スピっぽく聞こえるけどまじな衝撃

そこからは
埋まったパズルを頭の中に並べ
自分が作っているものがどう完結していくのか
環境に対して
染色以外でも何が出来るのかを考えた

0か100じゃなくてもいいから
自分が少しでもできる事を考えた

毎日2Lの水を飲み
毎週毎週捨てていた
ペットボトルで埋め尽くされたゴミ袋

水を汲みに行くようにすると格段に減った

折りたためて便利なエコバッグも
素材は化繊ばかりで
結局は表面上のエコでしかない

自分で作ろう
そう思ってエコハンドバッグを作った

もし、売れたら
自然保護活動団体に一部を寄付しよう
そう決めた
それが今じぶんにできることだと思ったからだ

もし、お客様がぼくの商品を使い続けて
ボロボロになり捨てる段階まで来ると
ぼくの元に戻してもらうような物づくり体制にした
なぜなら、土に還るから

あの時の手ぬぐいみたいに自然に還る

あの時の手ぬぐいみたいに畑に撒ける

自然に還ったのはたった1枚かもしれないが
その1枚でぼくはたくさんの学びを得た

化学繊維も使っていない
化学染料も使っていない

自然の繊維と自然の植物色

バチバチに定まりまくって
このコンセプトでいこうと腹に決めた

生業にする以上ぼくは本気でやってる
本気で向き合ってる

いつもはふざけているけど
仕事に対する気持ちは本気
舐めた事はしない

そこからは、生ゴミを堆肥にするには
ということや
なぜ、手ぬぐいから雑草が生えたのか
を掘り下げて調べまくった

人体の事まで調べた。笑

自分なりの深いところまで理解できてきた
まだまだ奥は深いが、少しずつわかってきた

ただ、誤解しないで欲しいのが
ぼくは人に強要する気は全く無い

自分が仕事として好きで勝手にやってる

日常的に
化繊も着るし、化学染料も着る

それを矛盾と思う人もいるだろう

でも、ぼくは自分なりの50点でいい

0か100か 2通りの
答えしか出せない人間にはならない

こうして偶然が多数交わり生まれたのが

“土から始まり土へと還る循環型の物づくり”

それが、ぼくの主軸だ

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