「天然の京藍染」と「薬品を使った京藍染」の違い

今日は「天然の京藍染」と「薬品を使った京藍染」の違いについて書きたいと思います!

※薬品と天然の見分け方も写真で説明

 

 

藍染には大きく分けると2種類あります。

 

 

天然(発酵)の藍染 と 薬品(還元)の藍染

 

 

まずは、その二つの藍染方法の歴史から見ていきましょう。

 

-歴史-

 

《天然藍染》

藍染は日本特有のものと思われますが実は世界中にあります。世界最古で約6500年前のインダス文明の遺跡から藍染の工房が見つかっており、約4000年前にはエジプトのテーベ古墳から出土したミイラを包む布(マムニー布)が藍染されていたり長い歴史がある事がわかります。

日本の現存する最古の藍染は約1300年前・・・

現在、奈良 東大寺 正倉院 宝物に残っている大仏開眼儀に用いられた「縹縷」が残っております。

 

《薬品藍染》
近代的になると低コスト大量生産、大量消費を時代になります。皆さんが、今着られている服も化学染料がほとんどかと思います。化学染料の誕生は約160年前になります。

 

天然と薬品の生産者(職人)と消費者(お客様)の違い

 

-天然-

 

【生産者】

〈メリット〉

なし

〈デメリット〉 
・自然の発酵に任せているため好きな時に染められない 

・発酵する菌のバランスが崩れるため大量に染められない

・自然のものを扱うため1+1=2の答えが出ない

全て自然のものを使うのでコストがかかる

【消費者】
〈メリット〉 
・色移りがしない(白物と洗っても大丈夫)

・藍の持つトリプタンスリンによる強い抗菌作用 

・敏感肌に良い 

・アトピー性皮膚炎(マラセチア菌)を抑制 

・防臭効果 

・紫外線防止 

・防炎効果

〈デメリット〉

 なし

 

 

-薬品-

 

【生産者】
〈メリット〉
・好きな時に染められる 

・大量に染められる 

・短時間で濃く染められる

・1+1=2の答えが絶対出る

・コストが1/10に減らせる

 

〈デメリット〉 
・ニオイがきつい 

・皮膚が溶ける 

・目に入ると失明

 

【消費者】
〈メリット〉

なし

 

〈デメリット〉 
・色落ちが激しい 

・色移りがする(白物とは洗えない)

・天然藍染と価格の差がほぼない

 

 

これを見るとわかることが、

薬品藍染のメリットは生産者にしかなく

消費者にメリットはないということ。

 

そして、生産者(作り手)側しかわからないこと。

 

お金だけを稼ぐのが目的なら僕も迷わず薬品藍染を行なっています。

※見分け方は下で記述しています。

 

《僕が天然でやる理由は・・・》

 

上記の通り生産者側が天然でやるメリットはないです。それでも自分が天然にこだわる理由は、

「お客様に本当に良いもの(京藍の本物)を提供したいから!!」です。

 

6500年以上も続く藍染が、ただのファッションではなく人類を救ってきたものだから・・・

 

ぼくは修業時代、自宅風呂で藍染の実験を始め現代の薬品を使った藍染から本藍染と言われる技法など全ての技法を実践し歴史を遡っていった結果・・・

 

室町時代の技法(最古)まで遡り室町時代の藍染技法が1番色が綺麗で堅牢度(色の強さ)が1番高かったので室町時代の技法で藍染を行なっています。

 

-天然と薬品の見分け方-

 

発酵(天然)した染液と、還元(薬品)した染液は容易に見分ける事ができます。

天然の染液は表面が空気に触れ酸化し青暗くなっております。
染液の中は茶色の液です。

 

 

 

薬品の染液は泡立っている部分は青いですが、液は黄緑色をしています。

 

ご覧の通り全くの別物という事がわかります。

 

染めている布の違いもあります。

白布を藍染した場合、
天然の藍染は茶色→藍色へ変わり

薬品の藍染は緑色→藍色に変わります。

 

 

材料は天然の藍を使っていても、染めつける(還元)のに薬品を使っているのが市場のほとんどですがそれでも材料が天然だから、天然藍染です。と謳っているのが業界の現状です。

 

 

消費者側が、天然藍染だと思っていたけど違った・・・

などの失敗が無くなるようにネットやSNSで藍染を調べる時は、上記のことを意識して調べると簡単に判別できますのでおすすめです。

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