身体よりも心の寿命は長い

ここには毎年勝手に墓参りに来てる
猿のように藍にハマりまくってたころ
歴史を掘りまくるとある人物にぶつかった

【阿波屋宇兵衛】

その内容は
当時(江戸中期〜後期)最先端だった
阿波(徳島)の藍の”生育法”を
“阿波屋宇兵衛”が命懸けで
都(京都)へ伝えた事により
莫大な利益が生まれるその生育法を
秘密にしていた阿波(徳島)が
宇兵衛を斬首刑に処した(1798年)
といったもの

ワンピースに出てくる
閉鎖的な鎖国
ワノ国を開国しろと
叫び殺された光月おでんに
重なるようで胸が熱くなった

江戸後期から
当時、藍が一気に繁栄した産地は
阿波(徳島)やったにしろ
全国的に藍栽培、藍染が行われてて
自分が殺されるとわかってるにも関わらず
なぜ、宇兵衛さんは
自分の命を懸けてまで
都(京都)へ伝えたのか。
疑問に思った

仮に自分が宇兵衛さんやとして
京都からどれだけ良い待遇を受けてても
自分が殺されるとわかっていたら
そんな事はしないと思う。
しかも、わざわざ都に伝えている。
表面上の出来事ではなく何か深い意味があったと思っている

阿波が藍を独占しようとして
他県の藩主達に渡す藍の種は
炒った種を渡し発芽しないように
細工していた事は歴史に残っている
そういったところから推測、仮説すると
どんどん閉鎖的になっていく
阿波(徳島)に対して宇兵衛さんは
良くないと感じるものがあり
それで自分が殺されると
わかっておきながらも
都(京都)へ伝えたら何か変わると
思ったのかもしれないと
僕は勝手に思っている

ただの妄想やろって
言われるかもしれんけど、
自分が殺されるとわかってて
わざわざそれを県跨いで伝えに行くか?

現に
1712年(江戸時代)にある
日本の百科事典には
藍の産地は京洛外(京都)が一番良い
その次が播磨、その次は阿波、淡路
って書かれている
わざわざ淡路、播磨を越えて
都(京都)に伝えに来ている
閉鎖的な独占よりも
未来への繁栄や希望に懸けたという
仮説を僕は持っている

日本一の染め屋に弟子入りし
弟子仕事以外の自分の限られた時間で
京都で藍を栽培し藍染をしている
そして、宇兵衛さんを知った
何か意味があると思っている
最大限にリスペクトしている
当時、京都中の藍に携わる
商人や仲間、九条の百姓たちが
最大限の感謝を表して
九条に建てた宇兵衛さんのお墓が
未だにしっかり残っている事にも感謝している

今年も京都原産の藍の品種
小上粉の花が咲いたので
宇兵衛さんに持って行った

222年経った今でも
宇兵衛さんは俺の中で生きてる
身体よりも心の寿命の方が
長い事を思い知らされる
そんな生き方、俺もしてやる
来季は今借りてる畑の
数十倍規模の藍畑を動かしてやる!

≪ BLOG一覧へ戻る

CONTACT

京藍染師 松﨑 陸へのコラボ商品のご依頼、その他のお問い合わせ等は、お電話、
またはお問い合わせフォームより承っております。お気軽にご連絡下さい。