約三年半近く前
工房に入りたての頃は
一切藍は触らせて
もらえなかった
それなら
自分で始めて、学ぶと決めた
でも、できる場所も
お金もないから
当時住んでいた
団地の風呂で始めた

なんの実績もない
ぼくみたいな
無名のやつは
大口で藍なんて
買わせてもらえず
相手にもされなかった

職人見習いで
雀の涙ほど
しかない給料で
大口の倍の値段もする
小口の藍を買って学ぶしかなかった

まともに藍を発酵させる事が出来ず
何回も失敗した
何も染められず
お金を捨ててるような日々が続いた

でも、その時からこれを作りたいと
明確に思っていた物がひとつだけあった

数年経ち
いろんな人のおかげで
その作りたい物を試作で作る事が出来た

置いてもらえる店を探そうと営業に回った

まったく相手にされなかった
こんなん材料費が高過ぎて売れない
いろいろとボロカスに言われた

確かに、こだわり過ぎて
時間とお金がかかり過ぎてる
と作るのを諦め、辞めてしまった。

それから半年後
ある男から連絡が来た

ぼくが作ることを途中で
諦めてしまったその作りたい物を
ベースにオリジナルで
コラボがしたいとの連絡だった

ぜひ、やらせて下さい と

試作をさっそく作り始め
その男に渡した

それまでは
一切必要とされていなかった
僕の作りたい物を
驚くほど やばい！と喜んでくれた

シンプルに余計な事は何も気にせず

自分の一番作りたかった物

でも

誰にも必要とされなかった物

を目の前で
めちゃくちゃ喜んでくれている
死ぬほど、嬉しかった

その男が湊三次郎
そして出来たのがこの“湯”小銭入れ

ぼくがお金を気にせず
一番作りたいと思っていた物を土台に

それを気に入ってくれた
湊三次郎が表現したかった
デザインが合わさって完成した
ぼくの中では商品ではなく、作品

本当に有り難い経験をさせてもらった🙏🏻ぜ